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【 映画雑感 】No.132

ジュラシック・パーク


1993年  アメリカ  127分
監督 スティーヴン・スピルバーグ
出演
サム・ニール、ローラ・ダーン、ジェフ・ゴールドブラム
リチャード・アッテンボロー、アリアナ・リチャーズ、ジョセフ・マゼロ
サミュエル・L・ジャクソン、ウェイン・ナイト

  ストーリー
 古生物学者アラン(サム・ニール)と恋人のエリー(ローラ・ダーン)は、発掘研究の資金援助を条件に、実業家ハモンド (リチャード・アッテンボロー)からコスタリカ沖の孤島に建設中のテーマパーク<ジュラシック・パーク>の視察を依頼される。
 パークでは絶滅した恐竜がDNA操作によって甦り、コンピューターで完全管理されていた。イアン博士(ジェフ・ゴールドブラム) やハモンドの孫のレックス(アリアナ・リチャーズ)とティム(ジョセフ・マゼロ)らも加わり、一行は島を訪れる。
 ある嵐の夜、コンピューターが停止し、コントロールを失った恐竜が人間を襲い始める。
 マイケル・クライトンの原作をもとに、最新のバイオテクノロジーによって甦った恐竜たちが人間に襲いかかる恐怖を描いたSF パニック大作。アニマトロニクス(ロボット工学)やCGを駆使して作り上げた恐竜たちのリアルな動きが大きな話題を呼んだ。
 ベテラン監督のリチャード・アッテンボローが、恐竜再生の夢に取り憑かれた財団設立者を演じている。

  一口感想
 アランとエリーがパークで最初に目撃する大型草食恐竜たちの群れにまずびっくりし、魅了される。長い首を伸ばして、ゆっくり 樹木の葉を食む彼らのリアルで優雅な動きは、まるでもう本物そのまま。広やかな草原に平和な気配が満ちて、後の展開を思えば嘘の ようだ。スピルバーグ監督 の導入の巧みさに舌を巻く。

 ティラノサウルスが登場してからは、ただもう、ひたすらその迫力に度肝を抜かれる。トラックで全速力で走っても間に合わない。 もの凄いスピードで追いかけてくる。咆哮する姿の凄まじさは、身の毛がよだつの一言だ。高圧電流を流しているとはいえ、あんな細い 鉄条網などなんの役にも立ちそうにない。
 中型肉食竜も凶暴さではTレックスに引けを取らない。それに加えて頭脳が鋭くて狡猾で、とても動物とは思えない。恐竜にこういう 凶悪な知能犯的イメージを持つなんて、考えたこともなかった。厨房に逃げ込んだレックスとティムの姉弟を追いかけまわす執念深さといったら・・・。Tレックスが視覚的な怖さとすれば、中型恐竜は「悪意」に対する心理的な恐怖に近い。

 この映画には他にも病気のトリケラトプスや夜、木の上に避難したアランと子どもたちの傍まで来て、美しい鳴き声を聞かせる草食竜、 口から黄色い粘液を吐き出してコンピュータ・プログラマーのネドリー(ウェイン・ナイト)を襲う小型恐竜など、多彩な恐竜たちが 登場し、楽しませてくれる。

 しかし、本作の真骨頂は、科学を妄信することの危険性がきちんと描かれているところだ。財団の設立者ハモンドは、DNA操作で 恐竜を再生することになんの疑問なく、その後のこともコンピューターで完全管理できると考える。たとえば、恐竜たちは卵の雌雄を コントロールすることで繁殖が制御され、DNA操作で短命に終わるはずだった。
 しかし、アランたちは研究所の外で卵を発見する。イアン博士が喝破したように、自然は科学の予想を遥かに超えた再生力を備え、 恐竜たちは生き延びるすべを見つけ出していたのだ。

 ハモンドが落ち込んだ陥穽はそれだけではない。彼は人間が欲望に突き動かされることを忘れていた。コンピュータ・プログラマーの ネドリーは、ライバル会社に恐竜の胚の入ったカプセルを多額の金で売り渡そうと、コンピューターのロックを解除してしまう。その ためにパーク内のすべてのシステムが作動しなくなる。
 それに、だれかが故意にやらなくても、故障や事故でコンピューターが機能しなくなることも起こりうる。科学テクノロジーは万能 ではないことを、ハモンドは次々に思い知らされる。

 さらに興味深いのは、エリーがシステム回復のためにパネル・ルームにたどり着くのと、アランが子どもたちとともに張り巡らされた 鉄条網をよじ登って、センターに逃げ込むのが同時進行で描かれる場面だ。エリーのほうが早ければ、グラントたちは高圧電流で 感電死してしまう。
 たがいに相手の事情は知らない。どちらも恐竜に襲われる恐怖で必死なのだが、グラントたちにとって今もっとも脅威なのは、じつは 仲間のエリーだという皮肉。

 命の操作は(どの宗教というのでなく) “神” の領域に踏み入ることだと思っている私は、科学万能(=“神”)を妄信する人間の 傲慢とその落とし穴がこの映画では描かれている、と見るたびにいつも思う。恐竜という地上最高のヒーローを活躍させながら、科学 信仰への警鐘を鳴らすことも忘れない。この映画が最上級のエンターテインメントだと思う所以だ。
  ○△×】9

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