| 【 映画雑感 】No.129 |
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ストーリー 元ロック・スターがアイス・ピックで惨殺される事件が発生する。サンフランシスコ市警殺人課のニック(マイケル・ダグラス)は、 被害者と一緒にいるのを最後に目撃された、彼の愛人で作家のキャサリン(シャロン・ストーン)を尋問する。彼女は数か月前に今回の 事件そっくりのミステリーを発表していたのだ。 一笑に付すキャサリンだったが、彼女へのニックの疑惑は増していく。その一方で、親友ガス(ジョージ・ズンザ)や、恋人で警察 付きの精神科医ベス(ジーン・トリプルホーン)の心配をよそに、ニックはキャサリンの甘い罠に落ちていった。ある日ニックは、 彼女の次の小説の中で、彼をモデルにした刑事が死ぬ運命にあることを知る。 シャロン・ストーンが下着をつけずに足を組みかえるショットがセンセーショナルな話題を呼び、世界中で大ヒット、それまでB級 女優扱いだったストーンは、本作で一躍トップスターに躍り出た。オランダの鬼才ポール・ヴァーホーヴェン監督作品。 この映画の魅力は第一に、シャロン・ストーンの起用の成功に尽きるといってよい。自分の性的魅力を十分承知し、すべてを計算して 男を挑発する。ディスコで踊りながらニックを誘いかつ突き放す蠢惑的な表情は、女の私でさえぞくぞくするほどだ。そのくせ、男からの 挑発には動ぜず惑わされず、冷静この上ない。 海辺の別荘で、着替えているキャサリンをニックが盗み見る場面がある。自然でさり気ない様子から、彼女は何も気づいてないのだと 思っていると、なんでもない時に、鋭利な刃物でスーッと切り下げるように、「見てたでしょ」という。そのタイミング、その口調。 思わずぎょっとさせられる。 ストーリーにほとんど意味のないこんな場面で、キャサリンの氷のような個性をさらりと示す。巧みな演出だ。圧巻は警察の尋問 シーン。 彼女の発する濃厚な色気に男たちが動揺し、額に汗を浮かべる様子も迫力があるが、それを冷ややかに観察するキャサリンの態度が 凄い。その場の脂っこい空気にスーッと冷気が通るようだ。まさにクール・ビューティの面目躍如たるものがある。
キャサリンにはいつも死の匂いがまといついている。両親は事故死し、関係のあったロック・スターは殺され、友人のヘイゼルは、 元々平凡な主婦だったのに、ある日突然家族を皆殺ししてしまった。キャサリンの同性の恋人ロキシーも事故死する。 ロック・スター殺しの真犯人はキャサリンではないのか。彼女の両親の事故死も、莫大な遺産を相続するために、キャサリンが仕掛けた ものかもしれない。ヘイゼルとキャサリンはロキシー同様、同性愛の匂いがする。彼女の家族殺しは、キャサリンとの関係が引き金に なっていはしないだろうか。 そんな疑惑が次々湧いてくる。男も女もセックスの虜にする魔性の女、人を利用するだけの愛を知らない殺人鬼。疑い出せばきりなく キャサリンは怪しい。 ミステリー好きの私としては、堪えられない材料がそろっている。これらの謎が彼女の冷血ぶりを際立たせ、さらに謎を深めていく のを期待したのだが、話は途中で少々腰砕け。 ロキシーが死んだ時、キャサリンは「私の愛する人はなぜかみんな死んでしまう」と涙する。演技とも思えないしおらしさだ。急に 彼女を包んでいたミステリアスなオーラが消えて、ただの女になってしまったようで、ガッカリする。 小説が完成すると、彼女は「もうあなたには用はない」と冷たくニックに言い放つ。思わせぶりにヘイゼルが現われ、ニックを冷笑 する。やっぱりこれでなくっちゃ。キャサリンは男を翻弄し続け
る、深い湖水のような女でなくてはいけないのだ。ニックが、恋人ベスとキャサリンの過去の関係を明らかにしていくプロセスはそれなりに面白いが、謎解きに追われ、キャサリンが 絡まないこともあってややトーンダウンする。ここもキャサリンの視点で語り、どこまでがほんとうか分からない展開にしたら、もっと 面白くなったと思う。 ベスは真犯人としてニックに殺され、証拠品も彼女の部屋から発見されて、事件は落着する。しかしベスが言っていたように、これも キャサリンの罠なのではないか・・・。その余韻を残せば、ラストシーンの「ベッドの下のアイスピック」の衝撃度はもっと強まったの ではなかろうか。 映画を見終わってよくよく考えれば、ミステリーも中途半端だし、犯人も分かったような分からないような・・・。それなのこの映画は 麻薬のような魅力がある。 シャロン・ストーンの圧倒的な魅力、キャサリンに破滅的にのめり込んでいく刑事ニック、そんな彼に「彼女には近づくな」と警告し 続ける相棒ガス、そしてキャサリン以上に女の怖さを感じさせるベス、それぞれにいい。とくに、無頼派刑事ニックを演じたマイケル・ ダグラスは、男のセックスを全身から放射して、シャロン・ストーンに負けない存在感を示していると思った。 【◎○△×】7 |