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【 映画雑感 】No.103

仮面の男


1998年  アメリカ  132分
監督 ランドール・ウォレス
出演
レオナルド・ディカプリオ、ジェレミー・アイアンズ、ジョン・マルコヴィッチ
ジェラール・ドパルデュー、ガブリエル・バーン、アンヌ・パリロー
ジュディット・ゴドレーシュ、ピーター・サースガード

  ストーリー
 フランスの文豪アレクサンドル・デュマの「鉄仮面」をベースに、さらに大胆な脚色を加えた歴史劇。
 17世紀のフランス、かつて王への忠誠と勇猛さで名声を馳せた四銃士のうち、ダルタニャン(ガブリエル・バーン)は今は近衛 銃士隊長の重責を担い、アトス(ジョン・マルコヴィッチ)、アラミス(ジェレミー・アイアンズ)、ポルトス(ジェラール・ ドパルデュー)の3人はすでに一線を退いていた。
 新王ルイ14世(レオナルド・ディカプリオ)は暴政を敷き、人民は飢えと戦争に苦しんでいた。ダルタニャンを除く3人は、鉄の 仮面をつけられて牢獄に幽閉されている謎の男が王と瓜二つなのを知り、仮面舞踏会の日に彼と王と入れ替える計画を立てる。ルイは じつは双子の弟フィリップ(レオナルド・ディカプリオ)を地下牢に幽閉していたのだ。
 フィリップの脱獄に成功した3人は、彼に宮廷作法を仕込み、やがて決行の日を迎える。

  一口感想
 子供の頃、デュマの「三銃士」に熱中した私としては、“三銃士” ものはついつい見てしまうジャンルの映画だ。そこで気になる のは、ダルタニャンを含めた四銃士の面々をどういう俳優が演じるのかということ。自分の中のイメージに出来るだけ近い俳優であって ほしい願うのが人情というものだろう。
 ガスコーニュの田舎からやって来たダルタニャンは、血気盛んで頑固者で、ガスコン気質丸出しの野暮ったい若者だ。その彼が中年に なって、どんな顔で出てくるのかと思ったら、ガブリエル・バ ーンで登場だ。
 彼では洗練され過ぎる気もするが、長年パリの水に洗われて女にもてまくれば、こんないい男になるかも、という気もしないではない。猪突猛進の分別のない若者だったダルタニャンが、隊長らしい落ち着きを見せて、いい中年になったという感じだ。
 女には興味がなく、美男で華奢で信仰深いアラミスも、ジェレミー・アイアンズなら合格。
 豪放磊落なポルトスが、本作ではただの色ボケおじさんみたいになっているのがちょっと残念。
 私のイメージではポルトスはドパルデューよりずっと大男で、女の尻を追いかけるよりは、大酒飲みの大食漢という印象なのだ。ま、 大まけして、7割くらいの合格点をやっていい。

 一番イメージが違うのはアトスだ。冷静沈着で思慮深く、酸いも甘いもかみ分けた三銃士のリーダー的存在。妖婦ミラディとの間に 苦い過去も持つ人生の先達だ。私のイメージでは、大柄で、口ひげを付けたなかなかの好男子のはずなのだが、マルコヴィッチでは 泣きたくなるほど違う。
 でもちょいと待て。私のイメージ通りのアトスだと、中年になってからのダルタニャンやアラミスと似た感じになってしまいそう。 四銃士の個性に際立った違いがなくなって、映画としては平板になるような気もするし、マルコヴィッチでよかったのかな・・・。

 それにしても4人が横にすっと立ち並ぶさまはやっぱりかっこいい。カレーの港で大立ち回りを演じた頃の、4人の華やかさが脳裏に 甦る。“三銃士” 時代の颯爽たる若さがないのは悲しいけ ど、ダルタニャン以外は現役を引いちゃってるんだからしょうがない。
 近衛銃士隊は王への忠誠は絶対。そのなかで「All for One,One for All」の合言葉でたがいの結束を誓い 合う。そのロマンティックな理想主義が単純に素敵だ。デュマの “三銃士” シリーズの魅力はそれに尽きると思う。本作はそれが 比較的よく出ていたような気がする。

 史実に実在する「鉄仮面」はデュマが小説で描いたのとはだいぶん違うようだ。じっさいはビロードの布で顔を覆われ、牢獄とはいえ 立派な調度のある部屋で丁重な世話を受けたという。ただし、世話係は一切口を利くことを禁じられ、生涯、正体は不明のままだった。
 私が読んだ研究者の著書には正体についていくつかの説が検証されていたが、どれも王の双子の兄弟という風説ほどドラマティック ではなかった。私個人としてはやはり双子説がロマンがあっていい。
 ディカプリオはすごい俳優たちに囲まれながら、二役をよくこなして存在感を示したと思う。いくつか見た “三銃士” ものの中では 本作はかなり楽しめたほうだった。
  【◎△×】7

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