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【 映画雑感 】No.102

コーヒー&シガレッツ


2003年  アメリカ  97分
監督 ジム・ジャームッシュ

出演
 【変な出会い】 ロベルト・ベニーニ、スティーヴン・ライト
 【双子】 ジョイ・リー、サンキ・リー、スティーヴ・ブシェミ
 【カリフォルニアのどこかで】 イギー・ポップ、トム・ウェイツ
 【それは命取り】 ジョー・リガーノ、ヴィニー・ヴェラ、ヴィニー・ヴェラJr.
 【ルネ】 ルネ・フレンチ、E・J・ロドリゲス
 【問題なし】 アレックス・デスカス、イザック・ド・バンコレ
 【いとこ同士】 ケイト・ブランシェット
 【ジャック、メグにテスラコイルを見せる】 メグ・ホワイト、ジャック・ホワイト
 【いとこ同士?】 アルフレッド・モリーナ、スティーヴ・クーガン
 【幻覚】 GZA(ウータン・クラン)、RZA(ウータン・クラン)、ビル・マーレイ
 【シャンパン】 ビル・ライス、テイラー・ミード

  ストーリー
 “コーヒー” と “タバコ” をめぐって11のエピソードを綴った短編集。コーヒーを飲みながら、タバコを吸いながら、ひと クセもふたクセもある登場人物たちが、どうでも良いようで、良くない会話を繰り広げる。
 本作は18年もの長きにわたって撮りためてきたジム・ジャームッシュ監督のサイド・ワーク。アメリカの人気テレビ番組「サタデー ・ナイト・ライブ」から依頼されて撮った『コーヒー&シガレッツ/変な出会い』が始まりで、3話目の『コーヒー&シガレッツ/ カリフォルニアのどこかで』はカンヌ国際映画祭の短編部門でパルム・ドールを獲得した。

  一口感想
 10分くらいの短い話が集められ、見開き2ページのショート・コント集を読む趣きだ。
 といっても、そのどれもが2人(3人の時もある)が喫茶店やホテルのラウンジで、コーヒーとタバコを飲みながら喋っているだけ。 変わり映えのしない図柄なのだが、なんだかおかしい。それは多分、登場人物の会話がどれもちょっとずつズレていて、彼らもそのこと を感じている、そのことからくる可笑しさだろうと思う。

 冒頭の【変な出会い】のロベルト・ベニーニは、緊張してコーヒーカップを持つ手が震えたりしている。
 それなのに、待ち合わせ相手のスティーヴン・ライトが現われると妙にハイになり、声高で機嫌よく喋りまくり、ライトが歯医者に 予約しているけど行きたくないとぼやくと、急に思いついたように「歯医者に予約していた。いかなきゃ」とそそくさと立ち去って しまう。
 残されたスティーヴン・ライト、なんとなく間が悪そう。手持ち無沙汰。そんな感じがおかしい。

 おかしさでは、【カリフォルニアのどこかで】のロックの変革者イギー・ポップと “酔いどれ詩人” トム・ウェイツの組み合わせが 最高だ。2人の大物ミュージシャンが顔を合わせる!と期待すると、見事に外される。
 イギー・ポップは意外に愛想がよくて一生懸命、場を取り持とうとするのだが、なぜかトム・ウェイツは初めっから機嫌。イギーが 何か言うたびに揚げ足を取っては絡む。
 イギーもだんだん白けて帰ろうとすると、急にトムは引き留め出す。どうやら絡みながらもトムは居心地いいらしく、1人になるのは 寂しいのだ。
 イギーが立ち去ったあと、ジュークボックスを確認して「あいつのもない」と呟くのには内心大爆笑。じつはその前に、 イギーに「君のが入ってない」と言われてへそを曲げていたのだ。

 【いとこ同士?】では、イギリス人同士の登場で、コーヒーの代わりに紅茶を飲みながらになる。
 アルフレッド・モリーナが、家系図を調べていたらスティーヴ・クーガンといとこ同士だと分かった、と初対面のクーガンに大感激で 説明する。これを機会に親しく付き合いたいらしいのだが、クーガンは迷惑顔。
 電話番号を教えてくれといわれて体よく断わっているところに、モリーナの携帯が鳴り、彼がスパイク・ジョーンズと親しいと分かる。 あの『マルコヴィッチの穴』(99)の監督だ。
 途端にそわそわし始めたクーガン、「スパイクのファンなんだ。電話番号、今頃教えると言い出したら失礼かな」。モリーナ、にべも なく「イエス」。
 立ち去るモリーナ。残ったクーガン、「まずかったな・・・」。

 ちょっとした会話の中で微妙に屈折した心理が動いたり、相手に生じているのを感じたりして、戸惑ったり、気まずい思いをする ことはままあることだ。本作はそんな場面を巧みに掬(すく)い取って、クスリとさせる。
 どの人物もみな本人として登場するせいか、つい親しい友人同士が撮った地のフィルムを見ている気持ちになるが、ちゃんと脚本に 基づいているのだそうだ。

 どの場面もコーヒーがまずそうなのが面白い。(タバコはうまそう。ちなみに、私は大のコーヒー党でタバコは吸わない。)
 その中で、最後の【シャンパン】で、2人の老人がシャンパンのつもりで飲むコーヒーがじつにおいしそうだ。
 ほんの10分の休憩時間。倉庫の中で、粗末なテーブルに向き合った2人は「人生を祝って」コーヒーを飲む。そして、テイラー・ ミードはそのままほんのり酔って(?)眠ってしまう。たゆたうような時間が流れて魅力的だ。

【変な出会い】
ロベルト・ベニーニと
スティーヴン・ライト

【カリフォルニアのどこかで】
イギー・ポップとトム・ウェイツ

【いとこ同士?】
アルフレッド・モリーナと
スティーヴ・クーガン

【シャンパン】
ビル・ライスとテイラー・ミード
  【◎△×】7

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