| 【 映画雑感 】No.89 |
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ストーリー 1851年、テキサスに大農場を作るためにレッド・リバーに向っていた開拓者のダンスン(ジョン・ウェイン)とグルート (ウォルター・ブレナン)は、途中、牧草地を求めて幌馬車隊を離れている間に、隊はアメリカ先住民の襲撃を受けて壊滅。孤児と なった少年マシューを養子とする。 14年の歳月が流れ、南北戦争直後。彼らは広大な土地と多くの家畜を持つようになるが、南部には牛の市場がない。ダンスンは マシュー(モンゴメリー・クリフト)らとともに、1万頭の牛をテキサスからミズーリへ運ぶ旅に出る。 多くの牧童を雇った旅は困難を極めた。焦燥感を募らせたダンスンは酒に耽り、牧童たちにむごく当たるようになり、愛想を尽かした マシューは彼を置き去りにする。モンゴメリー・クリフトは本作がデビュー作となった。 カウボーイというのは牧場で牛の世話をするのが仕事とばかり思っていた。ところがそれ以上に、その牛を高く売れる地域まで運んで いく “キャトル・ドライブ” という大仕事があることが、この映画を見てとてもよく分った。 西部劇でカウボーイたちが草原で火を焚いて野宿をするシーンを見るけれど、それはこういう時の場面だったのか、と西部劇について ほとんど知識のない私は今頃になって思い至っている。 なにしろ牛の数が半端ではない。何千、何万という牛の群れを誘導していくだけでも大変なのに、強盗団や牛泥棒、先住民の襲撃も ある。命がけの危険な仕事だ。屈強な男たちでも次第に疲労がたまってゆく。 映画の中に、砂糖が好きで、しょっちゅう食料袋に指を突っ込んで盗み舐めをするカウボーイが出てくるが、こんな子どもみたいな 癖も、彼にはストレス解消になっていたのかもしれない。もっともこれが後に、牛の大暴走を引き起こすきっかけになってしまうの だが。
何ヶ月もかけて目的地にたどり着くのがいかに大変なことかがリアルに描かれていて、それが私には非常に興味深かった。本作でもう1つ面白かったのは、ジョン・ウェインが、これまで見たのとはずいぶん違う人物像を演じていることだ。ダンスンは人の いうことに耳を貸さず、口にするのは命令だけという支配的な人間だ。 初めは一応、信念のあるリーダーという印象なのだが、途中からだんだんおかしくなる。目が据わり、狂気さえ漂ってくる。カウ ボーイたちの気持ちが彼から離れ出すと、いっそう拍車がかかる。決まりきったヒーローを演ずるウェインしか知らない私には、これは すごく意外だった。 反旗を翻し、牧童たちを率いて去っていくマシューを見送るウェインには鬼気迫るものがある。本当に怖い。マシューたち牧童らが、 いつダンスンが仕返しに現われるかと怯えながら旅を続け
るのがとても納得できるのだ。圧倒的な迫力を持つダンスンが、途中で出会った幌馬車隊の女テスに、「(マシューに)裏切られた」「息子と思っていたのに」と愚痴をいうのも、私には面白かった。 自分の振る舞いは棚に上げて恨みがましいことを言い、あげく、やっぱり本当の息子じゃないとダメだといわんばかりに、テスに 「俺の息子を産め」「そしたら牧場の半分をやる」などと、財産を餌に迫ったりする。もちろんあっさり拒否されるのだが。 こんなみっともないウェインは初めてだ。硬軟取り混ぜた演技力が(ウェイン・ファンには怒られそうだが)、私にはちょっと意外だった。 ダンスンとマシューが対決するラストシーンは、2人が盛大に殴り合って和解 → 笑顔、と従来のウェイン・パターンに戻って しまって、私としてはかなり拍子抜け。でも、こういうタイプの映画はシリアスな結末は似合わない気もするし、これでいいのかも しれない。 モンゴメリー・クリフトは見かけの線の細さとは裏腹に、剛胆な西部男を演じてなかなかサマになっている。これが映画初出演だ そうだが、ジョン・ウェイン相手に堂々と渡り合っているのはご立派の一語。 【◎○△×】8 |