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【 映画雑感 】No.42

海辺の家


2001年  アメリカ  126分
監督 アーウィン・ウィンクラー
出演
ケヴィン・クライン、クリスティン・スコット=トーマス、へイデン・クリステンセン、
ジーナ・マローン、メアリー・スティーンバージェン、ジェイミー・シェリダン

  ストーリー
ガンで余命3ヶ月の命と知った建築デザイナーが、自分の家を建て直すことで、離婚した妻の元で暮らす息子との絆を回復しようとする ヒューマン・ドラマ。
 42歳の建築デザイナー、ジョージ・モンロー(ケヴィン・クライン)は10年前に妻ロビン(クリスティン・スコット=トーマス)と 離婚し、以来、父の建てた古い家でひとり暮らしを続けている。ある日、ジョージは勤めていた建築事務所を解雇され、その直後意識を 失い、自分が余命3ヶ月のガンであることを知る。こうして、かつて父との確執に苦しみ、今は16歳の息子サム(へイデン・ クリステンセン)とも心が通わぬジョージは、初めて自分の人生を振り返る。
 ジョージは、サムとひと夏をともに過ごして、以前からの夢だった家を建てようと決心する。反発するサムをムリヤリ手伝わせて、 古い家を壊し、新しい家造りが始まる・・・。

  一口感想
 1つの家が壊され、作り直されていく過程のなかで、2つの家族が再生していくのが印象深かった。
 1つはケヴィン・クラインが扮するジョージと息子サム、前妻ロビンの関係だ。サムは両親の離婚で傷つきグレかかっている。ロビン は息子を愛しているものの、どう対応していいか分からない。もうほとんど匙を投げている。この辺り、反抗期の子供を持った親の 心境が、いやというほどリアルに描かれている。
 ジョージは自身、父との関係がうまくいかず、その父が残した家を憎悪しながら生涯を過ごして来た。死を目前にした時、つくづくと そのことを考えたのではないだろうか。自分自身の家を作り上げることで、亡父との確執を整理し、少ない余命を新しく生きようと思う。 そして、サムに手伝わせることで、自分が父とはなし得なかった親子の関係を作ろうと決意する。

 おそらく彼がサムに父親らしい行動を取るのは、これが初めてだったのではないかと思う。家造りが始まってからは、そんなジョージ に、ロビンは久しく失っていた信頼を回復していく。
 幼い子供たちを連れて陣中見舞いにやってきたロビンと、ジョージが踊るシーンが好きだ。造りかけの家で夕陽を浴びながら、かつて 愛し合った頃のようにステップを踏む2人。そんな両親の姿を見つめるサム。3人の心が家族として1つに結ばれているのが感じられる シーンだ。

 もう1つは、ロビンと現夫ピーター(ジェイミー・シェリダン)の作る家庭だ。ピーターは妻子を愛しているが、仕事人間で家族を かまう暇がなく、そんな自分にさして疑問を抱いていない。よくあるタイプの仕事人間だ。しかし、彼はジョージが家造りを始めて、 義理の息子サムや妻ロビンがジョージとの絆を深めていくのを見た時、彼は自分の家庭での在り方を顧みる。これはふつうの夫には なかなか出来ないことだと思う。
 ピーターが家を出てロビンと別居した時、私はこのままこの夫婦は壊れるのかと思った。しかし、彼は私が思っていたよりもずっと 柔軟で賢明な人だった。彼は自分を見つめ直すために一人になり、そしてまた妻子のもとにもどって来る。
 2つの家族がどちらも妻として母としてのロビンを要にしていることが、興味深く思えた。クリスティン・スコット=トーマスが好演。

 けばい化粧をして危うい印象だったサムが、家の出来上がっていくのと歩調を合わせて、16歳らしい素の顔になっていく。ジョージ は自分の余命を真摯に生きただけでなく、息子の人生も父として立て直したのだと思った。
  【◎△×】7

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