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【 映画雑感 】No.35

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人


2004年  アメリカ  142分
監督 アルフォンソ・キュアロン
出演
ダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソン、ゲイリー・オールドマン
ロビー・コルトレーン、マイケル・ガンボン、アラン・リックマン、デヴィッド・シュウリス
マギー・スミス、ティモシー・スポール、エマ・トンプソン

  ストーリー
 J・K・ローリングの世界的ベストセラーを映画化したシリーズ第3弾。ホグワーツ魔法学校の新学期。帰省中のダーズリー家から 家出同然に飛び出したハリー(ダニエル・ラドクリフ)は、学校に戻る途中の街で、凶悪犯シリウス・ブラック(ゲイリー・オールド マン)がアズカバン監獄を脱走したことを知る。シリウスは“名前を言ってはいけないあの人(ヴォルデモート)”の配下で、ハリーの 両親を死に追いやった張本人だ。今度はハリーを狙っているという。ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)はシリウスから学校を 守るために、アズカバン牢獄の看守ディメンターを見張りに呼ぶ。しかし彼らの持つ闇の力は、1つ間違えれば生徒たちに危害を加える 魔の影響力でもあった。ハリーは両親の思い出を支えに、新任教師ルーピン(デヴィッド・シュウリス)から、魔力に対する防衛術を 学ぶのだった。

  一口感想
 毎回楽しみにして出かける『ハリー・ポッター』シリーズ、私は今回が一番面白かった。理由はいろいろあるが、思いつくままに 上げるとまず楽しい大道具・小道具が次々登場すること。のっけの“ナイト・バス”などは「トトロ」の“猫バス”に匹敵する面白さだ。 親切だけど横着な車掌や柱に取り付けられた縮み顔の案内人、2台並んでやってくる市街バスの間を通り抜ける時などは、乗ったハリーの顔まで半分になる ほどバス全体が細くなる。そして「あ」という間もないほどのスピードで、どこかにすっ飛んで行ってしまうのだ。
 “忍びの地図”も面白い。小さな可愛い足跡がぺたぺたぺたぺた羊皮紙の地図の上を歩き回る。だれがどこを歩いているのか一目瞭然 だ。「いたずら完了」と呪文を言うと、絵も文字もすーっと消えて、ただの黄ばんだ紙にもどり、知らん顔している。こんな魅力的な 地図は見たことがない。絶対にほしい!と思わずにいられない代物だ。
 ホグワーツの学校が重厚かつ豪華になったのも私には嬉しい。生徒たちを乗せたまま回転する階段が幾層にも重なり、廊下に 飾られた絵画の中の人物たちがざわめき動く。ホールを “鎧の騎士”が馬を駆り、影のように駆け抜ける。その華麗なまぼろしに私は いつもうっとりしてしまう。

 ストーリーではなんといっても、ハリーとハーマイオニー(エマ・ワトソン)が時間を逆戻しして、ハグリッド(ロビー・コルトレーン) の小屋にもう一度出かけるところがワクワクするほど面白い。初めロン(ルパート・グリント)と3人で来た時に、だれかが窓から 小石を投げ込んだり、森でなにか動く気配がしたりしたことが、ここでちゃんと辻褄が合ってくる。私はこういう幾何が解けるような 整合性にわけもなく興奮するタチなので、こんなところにドキドキしてしまう。
 おまけに、罪もないのに首をちょん切られた半鳥半馬のヒッポグリフが、この時間の逆戻しのお蔭で助かって、ハリーたちのために 大活躍するし、首切り役人は代わりに巨大かぼちゃをちょん切るというギャグも用意されている。
 アズカバンを脱走したシリウス・ブラックが思ったほど怖くなかったり、ディメンターが良いやつなのか悪いやつなのかさっぱり 分からなかったり、シリウス、狼男のルーピン先生、謎の男ピーター・ペティグリューとハリーの父親が昔親友だったという話が はしょりすぎていたり、物足りない部分もないではないけれど、「まーいいか」と思ってしまう楽しさだ。

 主役の3人が成長して、ずいぶん大人びた顔になったなぁと思う。とくにロンは蒸しパンみたいに丸くて可愛かった顔が、細くなって、 時々ひょいと青年っぽい表情になる。ハーマイオニーはおませで生意気な女の子から、勇気と聡明さをもったチャーミングな少女に 成長した。ハリーも目の辺りに自己主張の強さが出てきた。いつまでこのシリーズが彼ら3人の主役でやれるのかなぁ、映画より先に 大人になっちゃうんじゃないかしら、とつい余計な心配までするほどだ。
 ストーリー上でもハリーは成長する。初めハリーは、池の畔(ほとり)に現れ自分とシリウスを助けた“守護 霊”を父親だと思うのだけれど、時間の逆戻しによって、じつは自分自身だったことを知る。こうしてハリーは自分の力を信じることを 学び、1歩大人に近づく。このあと彼らはどんな風に成長していくのだろうか。今から次回作が楽しみだ。
  【◎△×】7

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