| 【 映画雑感 】No.22 |
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ストーリー 1999年4月20日、アメリカ・コロラド州の小さな町リトルトンで全世界を驚かす衝撃的な事件が起こった。早朝から ボウリングに興じていた2人の少年が、自分たちの通うコロンバイン高校に立て篭もって銃を乱射、12人の生徒と1人の教師を 射殺し23人を負傷させた後、自殺したのだ。「アメリカはなぜこんなにも銃犯罪が多いのか」。この疑問を解明するため、 アメリカ人ジャーナリスト、マイケル・ムーアがカメラとマイクを手にし、突撃取材をする姿を追った異色のドキュメンタリー。 カンヌ国際映画祭では急遽新設された“記念特別賞”を、またアカデミー賞のドキュメンタリー部門賞を受賞した。 アメリカの銃犯罪の多さは、余りに簡単に銃が手に入り、身近に銃が置かれ過ぎるせいと思っていた。それなのになぜ銃規制が 進まないのか、なぜNRA(全米ライフル協会)が人々の支持を集めるのか、不思議だった。だからこの映画で、カナダがアメリカに 劣らず人口当たりの銃の所持率が高いことを知ってびっくりした。それなのにカナダでの銃犯罪は驚くほどに低い。カナダ人と アメリカ人はなにが違うのか。このドキュメンタリーはそれを問いかけ、解き明かそうと奮闘する。 この映画を見てまず感じたのは、(ハロウィーンで日本人青年が射殺された事件でも感じたことだったが)アメリカ人は他者に 対しての警戒心・恐怖心がひどく強いらしいこと、そのため「やられる前にやれ」という自衛意識が過剰なまでに強く、とても ストレスフルな社会らしい、ということだ。そして、そのストレスを“緩和”ではなく“持続”させる仕組みが構造的に存在している。 つまりそれで利益を得る人たちがいるーー恐怖を煽ることで、銃及び関連商品が売れ、軍需産業が栄えるーーということを知り、驚いた。
NRAの会長チャールトン・ヘストンが、自身これまで一度も撃たれたことも襲われたこともないのに、弾込めした銃を手元に
置いていると「心が安らぐ」と、マイケル・ムーアのインタビューに答えていたが、これはやはり異常な感覚だと思う。病んでいると
思う。ではなぜ、アメリカは他者に対してかくまで警戒心が強いのか。映画の中でインタビューに答えてさまざまな人がさまざまな 意見を述べていた。征服と殺戮という暴力の歴史に由来を求める人、人種の坩堝の状況に原因を見る人・・・。いろいろ複合していて答は 1つではないだろうし、ではどうしたらよいのかはまだ見えてこない。国民性として比較的情緒が安定していると思っていた日本が、 最近どんどんアメリカの状況に近くなっていることも気になる。 映画の中に、アメリカが“民主主義”の名の下に世界のあちこちで過去に行ってきた他国への軍事介入やテロ支援の様子の ニュース・フィルム、市街戦の犠牲となって横たわる市民の死体の実写フィルムが写され、それらのシーンにかぶせてサッチモの 歌う“この素晴らしき世界”が流れた。胸に滲みる余りに美しいこの歌の世界と、ブッシュ大統領が今も強硬にイラク攻撃を主張して 止まない現実とのギャップに、胸が迫って泣きそうになった。 帰りのカーテレビで、ブッシュ大統領がとうとう「48時間の猶予」という最後通告をフセインに突きつけたと報じていた。 このままだと、あさって木曜、日本時間午前10時にまた戦争が始まる。 (2003.3.18記) (追記:イラク攻撃という現実の出来事にショックを受けて、この時は書くゆとりがなかったが、本作は重いテーマにも関わらず マイケル・ムーアのころころした体型もあって、全編にユーモラスな雰囲気が漂い、時には笑ってしまう可笑しさがある。とくにその 突撃取材ぶりは絶品。決してしかつめらしい顔をした小難しい映画でないことを付記したい。) 【◎○△×】8 |