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3月 |
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ストーリー クリスマスを控えたロンドンを舞台に、複数の男女の織りなす恋愛模様を同時進行で描くラブ・コメディ。 クリスマスが近づくと、だれもが愛を求め、人に心優しくなる。若くハンサムでおまけに独身と3拍子そろった英国の新首相 デヴィッド(ヒュー・グラント)は、新任のぽっちゃり秘書ナタリー(マルティン・マカッチョン)に一目惚れ。最愛の妻を亡くした ダニエル(リーアム・ニーソン)は、妻の連れ子・サム(トーマス・サングスター)の元気がないのが気がかりだ。11歳のサムの悩み はクラスメートへの切ない片想いだった。弟に恋人を取られ傷心の作家ジェイミー(コリン・ファース)は、 言葉の通じないポルトガル人のメイド、オーレリア(ルシア・モニス)に恋してしまう。
デザイン会社の社長ハリー(アラン・リックマン)はしっかり者の妻カレン(エマ・トンプソン)と幸せな家庭を築いている。ところ
が秘書のミアがどうしたことかハリーに猛烈なアタックをかけてきた。ハリーの会社に勤めるサラ(ローラ・リニー)は入社以来2年7ヵ月、同僚カール(への熱い想いを抱いたまま、1歩が踏み出せずに いた。 画家のマークは親友の新妻ジュリエット(キーラ・ナイトレイ)によそよそしい態度を取っていたが、ある日、彼女への片想いが ばれてしまう。 老いぼれロック歌手のビリー(ビル・ナイ)はかつての持ち歌をアレンジして見事カムバック、クリスマスソング・ヒットチャートの No.1に輝く。ご機嫌のビリーはふと気づく。クリスマスは一番愛している人と過ごすべきだと・・・。 クリスマスまでの数週間にとりどりの恋愛模様が、悲喜こもごものなかで進行する。 19人もの男女が登場して、同時進行でさまざまな恋愛模様を織りなしていく。話がこんがらがるんじゃないかと案じていたが、 とんでもなかった。 早いテンポで次々場面が変っていくのだが、編集がうまいのか演出の冴えなのか、どの話もスムーズに流れかつ 繋がり、しかもそれぞれに面白い。ハズシがないっていうのは、この手の映画としては珍しいんじゃないかと思った。 ヒュー・グラント、リーアム・ニーソン、エマ・トンプソ、アラン・リックマン、コリン・ファース、ローワン・アトキンソンと、 イギリスのビッグ・ネームがずらりと顔を揃えているのも壮観。英国首相役のヒュー・グラントですら単に19人のうちの1人という 扱いだ。
振られ作家のコリン・ファースがポルトガル人のメイドと恋をするエピソードが私のお気に入り。作家はポルトガル語を習ってかの地までプロポーズに行く。親戚縁者がぞろぞろ付いてきて、彼の求愛の言葉にやんやの大喝采。 彼女がひそかに習っていた英語で「イエス」と答えると、みんな顔を見合わせて「今なんて言った?」。 温かくて陽気でユーモラスで、お腹から笑ってしまった。コリン・ファースの陰鬱な顔がこんな役には妙にぴたっとはまっている。 ハッピーエンドの話ばかりではない。精神障害の弟のために、長年心に秘めた恋をあきらめる女性デザイナー、親友の新妻に恋して しまった純情男の片想い、どれもいじらしく切ない。 11歳の坊やの恋も登場する。彼の憧れのマドンナは、同じ学校の天才的に歌がうまい黒人の女の子。学校のコンサートで彼女が歌う シーンは正直いって感動した。彼がパパに彼女のことを「カッコいい」という意味がとてもよく分かり、こんな女の子に恋する坊やも カッコいいと思った。 見事カムバックを果たした中年ロック歌手が、本人はその気もないのに坊やの恋のつなぎ役をする。演ずるビル ・ナイの個性が強烈。悪口・悪態のつき放題なのに全然憎めない。彼は、長年支えてくれたマネージャーがたった1人でクリスマスを 過ごすことに気づくと、パーティを抜けて帰ってくる。彼のあくたれ顔の裏に隠された優しさについホロリとさせられる。 温かさと苦さが適度にブレンドされた恋愛群像劇。洒落た短編小説を読んでいるような趣があり、なかなか楽しかった。 【◎○△×】7 |
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3月 |
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ストーリー 『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの完結編。 アラゴルン(ヴィゴ・モーテンセン)たちと別れ、冥王サウロンの指輪を葬るために滅びの山に向
うフロド(イライジャ・ウッド)と
サム(ショーン・アスティン)。案内に立つゴラム(アンディ・サーキス)は、指輪を取りもどしたいために策略を巡らしていた。ヘルム峡谷の戦いに勝利したアラゴルンたちは、サルマンが支配するオルサンクの塔の破壊に成功したメリー(ドミニク・モナハン) とピピン(ビリー・ボイド)に再会し、無事を喜び合う。 冥王サウロンが人間の国ゴンドールを襲うことを知ったガンダルフ(イアン・マッケラン)は、執政デネソールに忠告するためゴンドールに向う。中つ国最後の砦を守るため、もう1つの人間の国ローハンの人々も立ち上がる。その頃、フロドはゴラムの姦計で大蜘蛛シェロブの毒牙に倒れ、オークたちの塔に連れ去られていた。 魔力を秘めた冥王サウロンの指輪を葬るために “滅びの山” に向かうフロドたち9人の仲間の旅立ちを描いた第一部、ばらばらに なった旅の仲間のその後の冒険を追った第二部、そして本作、第三部ではアラゴルン、ガンダルフと冥王サウロンとの決戦、“滅びの 山” にたどり着いたフロドとサムの命運を描く。 3時間半は長い。長いがそれだけの価値ある完結編だ。 壮絶な戦闘シーンで繰り出される怪鳥やマンモス、サウロンのモンスター軍団など、綿密なCGキャラクターの迫力に圧倒的される。 ゴンドールやローハンの人間軍団がどれほどがんばっても
敵アラゴルンが、ギムリやレゴラスとともに “死者の森” に入っていくくだりが好きだ。イシルドゥアへの誓約を守らなかったばかり に、それ以来森をさまよっている死者たちに、戦闘に加わり誓いを果たすことを促すためだ。これにより、ゴンドールの王としてのアラ ゴルンの資質が試される。 敗色濃い闘いの中で、森に入ったきりなかなか姿を見せないアラゴルン。一体どうなったのかじりじりする。それだけに、サウロンに 味方する海賊船かと見えた船団から、彼の率いる死者の大軍団が霧のごとく現われた時の感激は大きい。CGの醍醐味が存分に味わえる シーンだ。 本シリーズの魅力はスペクタクル面だけではなく、登場人物たちの人物造形がしっかりしているところだろう。中でも私は、フロド、 サム、メリー、ピピンの若いホビットたちが興味深かった。 4人の中で精神的に一番大人なのはサムだ。彼は自分は何をすべきかを知っており、そこに迷いも揺るぎもない。初めは浮ついていた メリーとピピンが、身体が小さいというハンディにもめげず戦闘に加わり、一人前の男に成長するのに対し、サムは終始サムであり 続ける。その安定は見
事だ。何もなければ平凡な人生を送っただろう市井の人が、危機に瀕した時に真価を発揮する。その輝きを感じる。そして、本作でもっとも深い苦悩を味わうのがフロド。彼はモルドールの滅びの山が近づくほど、指輪を我が物にしたい誘惑に取り 憑かれ、善と悪に引き裂かれる。後半、彼が激しく衰弱するのは指輪の魔力に生気を奪われたからだろう。 平和なホビット庄に帰ったあとも、フロドは心に受けた傷から立ち直ることができない。彼は「永遠に癒えることがないかもしれない」 とさえ思うのだ。 ホビットたちが故郷に帰ってからはゆったりした時間が流れ、長い苦難に満ちた旅を終えた安らぎが感じられる。こんなにも美しく 穏やかな村、平和な暮らし、そして家族。これらを守るために彼らは闘ってきたのだ、と改めて思う。 灰色港での別れは胸に染み入るようだ。夕日に染まった港から西方に向けて出発する船には、ガンダルフ、エルフたちとともにフロド、 ビルボが乗っている。フロドは新たな心の旅へ、ビルボは(おそらく)死出の旅へと向かって。そして彼らを見送るサム、メリー、ピピン。 長い物語がつい大団円を迎えたことを実感し、万感の思いが湧いてくる。アカデミー賞総なめが頷ける堂々の映画だった。 【◎○△×】8 |