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今月見た新作映画 2000年

5月〜8月



5月
アメリカン・ヒストリーX

1998年  アメリカ  120分
監督 トニー・ケイ
出演
エドワード・ノートン、エドワード・ファーロング、ビヴァリー・ダンジェロ
エイヴリー・ブルックス、ジェニファー・リーン、イーサン・サプリー

  ストーリー
 白人至上主義の極右組織“ネオナチ”のリーダーとその兄を信奉する弟の悲劇を通し、アメリカの人種差別問題を鋭く衝いた問題作。
 消防士の父が黒人に殺されたことをきっかけに、デレク(エドワード・ノートン)は白人至上主義グループに加入し、母(ビヴァリー・ ダンジェロ)の悲しみをよそに活動にのめり込む。鍛え上げられた強靱な肉体とカリスマ性で、デレクはグループのリーダーにのし 上がり、高校生の弟ダニー(エドワード・ファーロング)もそんな兄に尊敬の眼差しを向けるのだった。
 しかし、車を盗もうとした黒人を殺したことから服役したデレクは、刑務所内のさまざまな体験を経て、怒りと憎しみが何も生まない ことを悟る。3年後、デレクは出所する。彼の転向は仲間やダニーの失望と怒りを呼ぶが、デレクは屈することなくダニーにグループを 脱退するよう説き続ける。
 人権主義者の校長スウィーニー(エイヴリー・ブルックス)の影響もあり、ダニーがそれを受け入れた時、悲劇が訪れる・・・。

  一口感想
 デレクが黒人に歩道の縁石を咥えさせて首をへし折る冒頭シーンがあまりにも強烈。ーー大きくアップされたエドワード・ノートンの 底光りする眼の狂気。“狂信”の恐ろしさをまざまざと見せ付けられて、背筋が凍る思いになる。カメレオン俳優といわれる彼の面目 躍如というところか。
 ーーそれだけに、彼の人種差別意識に変化が生まれるためには、相当強力な必然性ある理由が要ると思うのだが、 刑務所生活でデレクが転向するプロセスや、兄に憧れ、同様に差別主義者になる弟ダニーがデレクの説得を受け入れて、 極右グループを脱退することになるその後の展開は、説得力の点で少し弱いと感じた。

 しかし、それでもアメリカの抱える人種差別問題の根深さを真っ向から捉え、胸を抉るように突きつけてくる真摯な迫力に圧倒 される。
 不況が長引き世情が混乱するほど、欧米ではネオナチとかネオコンと呼ばれる人が増え、出稼ぎや移民などの外国人排除の動き が強まる。日本もアメリカの黒人差別のような先鋭的な形は取らなくても、極右思想の広がりという点では共通の問題が常に存在する。
 また、ナチズムの白人至上主義からすると、私たち東洋人(黄色人種)も抹殺されるべき劣等人種なのだ。他岸の火事とばかりいえない 不安や恐ろしさを感じてしまう。弟ドニーが殺されるラストは、この問題の抱える根深さを改めて突き付けられるようで、ショック だった。
  【◎△×】8

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5月
アメリカン・ビューティー

1999年  アメリカ  117分
監督 サム・メンデス
出演
ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング、ソーラ・バーチ
ウェス・ベントレー、ミーナ・スヴァーリ、クリス・クーパー

  ストーリー
 アメリカの平凡なサラリーマン家庭の崩壊劇を皮肉たっぷりに描いたコメディ・タッチのドラマ。カデミー作品賞ほか5部門を受賞 した。
 郊外の新興住宅地に住むレスター・バーナム(ケヴィン・スペイシー)は、リストラ風(かぜ)が冷たく 身に染む中年のサラリーマンだ。不動産屋に勤める妻キャロリン(アネット・ベニング)はそんな夫にとっくに見切りをつけ、高校生の 1人娘ジェーン(ソーラ・バーチ)も冴えない父親にろくに口をきこうともしない。
 ある日、娘の級友アンジェラ(ミーナ・スヴァーリ)に出会い、彼女の蠢惑的な美貌にのぼせ上ったレスターは、突然会社を辞め、 気楽なアルバイト稼業のかたわら、筋肉トレーニングに励み出す。一方、妻のキャロリンは不動産王バディとうっ憤晴らしの情事に耽り、 娘のジェーンは隣家に越してきた元海軍大佐フィッツ(クリス・クーパー)一家の息子リッキー(ウェス・ベントレー)と親しくなる。

  一口感想
 レスターは広告会社に勤める中年サラリーマン。仕事はまったくやる気がなく、毎日をただ惰性で過ごしている。妻も娘も内心彼をばか にしているが、彼は全然気にしない。こういう空気の抜けたような男を演じさせると、ケヴィン・スペイシーはほんとにうまい。
 そんなレスターが突然、目が覚めたように暴走を始める。会社に辞表を出し、上司の情事をネタに高額の退職金をせしめ、高級車を 買い、ランニングやエクササイズで身体を鍛え、ハンバーガ ーショップで気楽なアルバイトを始めるのだ。

 レスターほど極端ではなくても、似たりよったりの願望を一度くらいは持ったことのある中年サラリーマンは多いんじゃなかろうか。 ルーチンワークの生活を放り出して、好き勝手に生きてみたい、という・・・。しかし、願望は願望として、ふつうは今の生活を維持 しようと頑張るものだ。
 映画では冒頭に、レスターが自分はすでに死んでいることを告白しているので、死ぬ前に壊れかかっている家庭を立て直す努力をする んだろう、とつい期待してしまう。ところが彼は身勝手な欲望に従ったまま、最後はとんでもない死に方をしてしまう。残された家族も このまま一挙にバラバラになりそうな気配だ。

 コミカルなタッチで進むホームドラマ。けど、中身はとってもからい。ケヴィン・スペイシーの白けきった皮肉っぽい目が、いっそう その毒気を強めている。
 この映画がアカデミー賞を獲得したということは、同じホームドラマのアカデミー賞映画『クレーマー、クレーマー』(79)や『普通の 人々』(80)の頃より、アメリカの家族問題が深刻になっていること の反映だろうか。

 レスターの暴走のきっかけは、娘の同級生に一目惚れしたことだ。「あなたのパパってセクシー」と娘に話しているのを盗み聞いて、 一挙に隠れた欲望に火がつく。
 タガの外れた分別盛りってちょっとコワイものがある。スペイシーが上半身裸でトレーニングしている時の 眼! なんとも妖しくていやらしくて、笑いながらも、ちょいと背筋がぞわっとしたりして・・・。

 隣りのバリバリ軍人おやじがじつは・・・、というのは意外などんでん返しだった。妻も息子も彼の秘密には気づいていたようだし、 “仮面家族” には違いないが、ささやかな親子の愛が感じられるのはホッとさせられる。でも家庭の空気が寒々してることには違いない なぁ・・・。

 落ち葉の舗道の上を白いビニール袋がいつまでも風に舞うビデオテープを、娘のジェーンと隣家の青年リッキーが並んで座って眺める シーンが好きだ。ジェーンの手がそっとリッキーの手に重ねられ、2人の心が寄り添う。全体に騒々しい印象の映画だが、ここだけ静かな 空気が漂っているのに引かれた。
  【◎△×】7

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6月
エリン・ブロコビッチ


2000年  アメリカ  131分
監督 スティーヴン・ソダーバーグ
出演
ジュリア・ロバーツ、アルバート・フィニー、アーロン・エッカート
マージ・ヘルゲンバーガー、ピーター・コヨーテ

  ストーリー
 巨大企業を相手に集団訴訟に勝利し、史上最高額の和解金を引き出した実在の女性エリン・ブロコビッチの人生を描いたドラマ。
 エリン(ジュリア・ロバーツ)は離婚歴2回、3人の子持ちながら無職。採用面接の帰り、交通事故を起こしたのをきっかけに弁護士 エド(アルバート・フィニー)と知り合い、強引に彼の事務所に職を得る。与えられたのは書類の整理という地味な仕事。
 ある日、彼女は整理していた不動産関係のファイルに疑問を感じ、調査を始める。そして、巨大企業が有害物質を不法投棄し、それが 周辺地域の水質を汚染して、住民に致命的な病気を引き起こしていることを発見する。

  一口感想
 『プリティ・ウーマン』の後、もう1つ作品に恵まれない印象を受けていたジュリア・ロバーツが久しぶりにはまり役にぶつかった。 公開当時はどちらかといえば、彼女が身に着けていた「寄せて上げる」ブラが話題先行していたが、ロバーツの明るい華やかさが「公害 問題」という地味なテーマを一流のエンターテインメントに仕上げたと思う。

 尻に火が付くほど生活が逼迫(ひっぱく)していたとはいえ、弁護士事務所に押しかけてむりやり事務員に なってしまったり、厄介な仕事には手を出したくないエドをたきつけて訴訟に踏み切らせ たり、エリンはかなり強引な女性だ。けれどまるで嫌味がない。むしろ持ち前のバイタリティに感じさせてしまう辺りが、彼女の人柄なのだろう。
 エリンはいつも9ヶ月の末っ子を片腕に抱えている(じっさいは未婚で子どものいないロバーツがラクラク演じているのに感心した)。 両手で抱えていたら母親業は務まらない。太く逞しい二の腕は母性の象徴だ。カッとしやすくて、下品で学歴も教養もないエリンだけど、 愛情だけは溢れるほどある。
 そんな持ち味が、問題の地区に住む人たちとの関わりの中でパワフルに全開する。人間的な温かさ、逞しさ、繊細さ・・・。片腕に 子どもを抱えた彼女を見るたびに、私は「負けるな、エリン」とエールを送らずにおれなかった。

 エリンは公害訴訟に打ち込む理由を「初めて人に尊敬された」「私の話を(地区の住人は)聴いてくれる」という。これは説得力がある。なにをやってもうまくいかない、挫折つづきのエリン。一見生命力に溢れているけれど、彼女はこれまで本当の自信を持てずにきたのでしょう。
 「人にきちんと扱われること」「自分を大切に思えること」ーー公害問題にかかわって、エリンは初めてその手応えを持った。自分の人生を見つけたのだと思う。

 ところで、弁護士エドを演じたアルバート・フィニーにじつは私は思い入れがある。20代の頃に見た『トム・ジョーンズの華麗な 冒険』(63)のフィニーの輝くような美貌! といっても絵に描いたような美男ではない。屈託のない太陽のような明るさが、彼を目も 眩む美男に思わせるのだ。
 その時の印象が余りに鮮烈にインプットされて、エドを演じてるのがアルバート・フィニーとははじめはちっとも気づかなかった。あれから40年近くが 経っている。「ほんとに彼?」それからだんだん「あ、いたいた・・・トム・ジョーンズだ・・・」。身体全体から滲み出るユーモアと 愛嬌に、トム・ジョーンズがちゃんといる。
 立派なオフィスに転居し、エリンにどんとボーナスも出せて、ウキウキしちゃってるエド。例の通り悪態つきまくりのエリンに「元ミス コンは謝るってことを知らないのかね。むかつくね」といって肩をすくめて見せる。“むかつく” というのはエリン流の下品な言い回しなんでしょう。「言っちゃった」といわんばかりのお茶目な仕草に、アルバート・フィニーここにあり、と私も嬉しくなってしまった。
  【◎△×】8

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5月
オール・アバウト・マイ・マザー


1999年  スペイン  101分
監督 ペドロ・アルモドバル
出演
セシリア・ロス、マリサ・パレデス、アントニア・サン・ファン
ぺネロぺ・クルス、ロサ・マリア・サルダ、カンデラ・ペニャ

  ストーリー
 愛する一人息子を事故で失ってしまった母親が、悲しみを乗り越えるまでの心の軌跡を描く。アカデミー賞外国語映画賞を受賞した。
 38歳のマヌエラ(セシリア・ロス)は、マドリードで臓器移植コーディネーターをしながら、女手一つで息子エステバンを育てて いる。彼の17歳の誕生日に、2人は大女優ウマ・ロッホ(マリサ・パレデス)が主演する『欲望という名の電車』の舞台を見に行く。 それは20年前、アマチュア劇団にいたマヌエラが夫と共演した思い出の芝居だった。
 終演後、思いもかけない交通事故でエステバンは死んでしまう。
 父のことを知りたいと言っていた息子の思いを伝えるため、マヌエラは仕事を辞め、青春時代を過ごしたバルセロナへと旅立つ。
 旧友の女装の娼婦アグラード(アントニア・サン・ファン)と再会し、ふとしたことからウマの付き人になったマヌエラは、妊娠した 修道女ロサ(ぺネロぺ・クルス)と暮らし始める。

  一口感想
 見るのは今度で3回目。見るたびに隅々まで深く好きになっていく映画が時々あるけれど、これはそういう映画の1つだ。
 臓器移植コーディネーターのマヌエラが、息子の脳死告知を受け、臓器移植を勧められる運命の皮肉さに、まず胸を衝かれる。 マヌエラを演ずるセシリア・ロスはさり気ない仕草・表情の奥にふとした瞬間、息子を失った傷心の深さを感じさせて、素晴らしい 演技力を示す。

 マヌエラがバルセロナに移ってからは、登場する人物は(女装のゲイも含めて)ほとんど女性ばかり、レズビアンの大女優ウマ、 ゲイの娼婦アグラード、妊娠した修道女ロサ、みな尋常でない境遇にいる。
 それぞれに人生のつらさや苦しさを抱えているけれど、女同士が集まれば、下ネタ話で笑い転げたりもする。物語はシビアだが、 スパイスの効いたユーモアでぐいぐい展開していく。
 じめつかないタッチがいい。とくに印象深いのは、アグラードを演ずるアントニア・サン・ファンだ。話術の巧みさもさることながら、 人物そのものの魅力がすごい。
 ウマがあけた舞台の穴を埋めるために、客を前にする喋りの面白さ。全身整形だらけの自分をネタに笑 いを誘いつつ、その底にひそむ悲しみを感じさせる。彼女も人生のつらさや悲しさを、笑いのなかに封じ込めて生きているのだ。
 マヌエラはロサの死後、彼女が残した赤子を育てることで、過去の悲しみから解放されていく。

 亡くなった息子の父親で、ロサを妊娠させた張本人でもある元夫ロラは、エイズという病いをロサを通して赤子にももたらしていた。 しかし、赤子のエイズ・ウィルスが減少し、マヌエラは学界発表のために再びバルセロナを訪れ、ウマやアグラードと再会する。
 未来の明るさを感じさせるラストがとても好きだ。女性の強さと優しさに捧げられた映画、それがこの映画だと見るたびいつも思う。
  ○△×】9

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7月
地上(ここ)より何処(どこ)かで

1999年  アメリカ  114分
監督 ウェイン・ワン
出演
スーザン・サランドン、ナタリー・ポートマン
ハート・ボックナー、ショーン・ハトシー、マイケル・ミルホーン

  ストーリー
 ウィスコンシンの小さな町での暮らしに飽き飽きしたアデル(スーザン・サランドン)は、嫌がる14歳の娘アン(ナタリー・ポート マン)を引きずるようにして、憧れの町ロサンゼルスのビバリーヒルズにやってくる。安アパートに腰を落ち着け、アデルは教師の職に つき、アンは学校に通い出す。
 アデルはアンを女優にするのが夢、ハンサムな歯科医、ジョシュ(ハート・ボックナー)と知り合うと、たちまち彼に夢中になる。 アンの目下の願いは平穏で普通の暮らしをすること。何から何まで正反対の2人は衝突ばかりしている。
 17歳になったアンは、母親を離れ東部の大学に進学を希望する。それを知ったアデルは大ショック・・・。

  一口感想
 アデルはとてもタフな人だと思う。嫌なこと、辛いことは楽しいことでごまかして、すぐ立ち直ってしまう。クスリに煎じて飲みたい くらい。派手な格好でフェロモンを撒き散らし、男ぶりのいい金持ちには夢中になるけど、誠実でも風采の悪い男は「退屈」と鼻もひっか けない。傍で見ている分にはユニークで面白いが、これが親となると、子どもは大変だ。

 娘のアンはウィスコンシンが好きだった。祖母やいとこや親友と離れたくなかった。それでも、親が出るといえば従うほかはない。 アデルは憧れのロサンゼルスに来て、ばら色の人生が開けると ばかりに有頂天だが、アンはいたってクール。親がこんな風だと、子どもは かえってしっかりするらしい。奔放なアデルにブレキーをかけるのがアン、親子の役割が逆転してしまっている。
 私がいじらしいなぁと思ったのは、アンがいつもお金の心配をしているところ。しっかりしているようでもやっぱりまだ子どもなのだ。 「不安でたまらない」とアデルに訴える場面は胸がきゅんとなった。

 アンは自分の都合で娘を振り回す母親が嫌でたまらない、母親の押しつけでない生きかたを見つけたい。一方アデルは、一心同体 と思っていた娘が自分を離れたがっていると知ってショックを受ける。「あんたのためにぜんぶ我慢してきたのに」という言葉に思わず 失笑。
 そうなのだ、これが母親なんですよね。ほんとうは自分がしたいからやってるだけなんだけど、すべて子どものためと思っている。子どものことは全部分っている、という思い込み。母親が子どもにとって懐かしいだけでなく鬱陶しい存在なのは、ひとえに、この一方的一体感のせいなのだ。

 「娘のためならどんなことでもするつもりなのに」と言って、アデルはパトカーのお巡りさんに「それ。今のその言葉」と言われて しまう。ここでストンと悟ってしまうのは出来すぎかも。でも、望み通りアンを東部の大学に旅立たせ、寂しげに空港を去る彼女を 見ながら、「身勝手な母親かもしれないけど、娘をちゃんと育てたじゃないの」と言ってあげたい気持ちになった。
  【◎△×】6

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8月
TAXi2

1999年  フランス  88分
監督 ジェラール・クラヴジック
出演
サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタル、マリオン・コティヤール
エマ・シェーベルイ、ベルナール・ファルシー、ミシェル・ミューラー

  ストーリー
 新感覚のカー・アクションで世界的大ヒットを記録した『TAXi』の続編。
 マルセーユの街を疾走する純白の改造プジョー406。ハンドルを握っているのはスピード狂のタクシー運転手ダニエル(サミー・ ナセリ)だ。その腕を買われて、マフィア対策の視察のため日本から来る防衛庁長官の運転手に抜擢される。
 ジベール署長(ベルナール・ファルシー)は「コニショワ〜」と怪しい発音で日本語の稽古。エミリアン刑事(フレデリック・ ディーファンタル)は片想いのぺトラ刑事(エマ・シェーベルイ)と柔道でスキンシップを図って痛い眼に遭っている。
 ダニエルは重装備の車に長官を乗せ試運転をしている最中に、突如現われた謎のテロリスト集団に長官を誘拐されてしまう。

  一口感想
 『1』を見ていなくて、免疫がなかったせいかもしれないが、とにかく笑って笑って笑った。自動車ラリーのトップを走っている車の すぐ後ろで、「なんてトロい走りの車なんだ」「これじゃ遅れちまう」としきりにぼやくタクシー・ドライバーのダニエル。
 抜いた後のぶっ飛ばし方が凄い。優勝車を待ち構えるギャラリーも凄い勢いで走り抜けるタクシーにポカン。警察の計測器はあまりの スピードに壊れてしまうし、取締りの警官が「スピード違反の車がそっちに向っている」とトランシーバーで連絡を受けた時は、もう 脇をびゅんと走り抜けている始末。
 後部座席では産婦が「今にも生まれそう」とハーハー喘いでいる。無事病院に到着、医者が駆けつける。「頭が半分でかかっている!」 急遽、車の中でお産だ。そこにダニエルの恋人リリー(マリオン・コティヤール)から携帯がかかる。受話器に入る女性に喘ぎ声に てっきり浮気と勘違い、と息もつかさぬお笑いの連続だ。
 プロローグで大笑いした割りに、本編に入ってからはストーリーがややもたつき加減。それでも忍者に扮したパリのストリート・ パフォーマー “ヤマカシ” のアクションが凄い。パリを訪れた日本の司法長官を誘拐する時の手際のよさは惚れ惚れするばかり。 90分足らずのコンパクトさなので、とりあえず最後まで駆け抜けてしまう生きの良さは悪くなかった。
  【◎△×】6

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