| 【映画メモ】 と で始まる映画 |
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ストーリー 昭和30年代、漫画の神様・手塚治虫に憧れ、漫画家を志す若者たちが集まってきた実在のアパート「トキワ荘」を舞台に、彼らの 無名時代の日々を綴った青春映画。 手塚が仕事場にしているトキワ荘には、漫画家としてのスタートを切ったばかりの寺田ヒロオ(本木 雅弘)が住んでいる。ある日、 手塚を訪ねて安孫子(鈴木 卓爾)と藤本(阿部 サダヲ)という2人の青年がやって来る。あいにく留守だった手塚に代わり、寺田は 2人の面倒を見てやる。 その後、手塚は別の仕事場に引っ越し、トキワ荘には2人に続いて石ノ森章太郎(さとう こうじ)、赤塚不二夫(大森 嘉之)ら漫画家の 卵が集まり住むようになる。実直な寺田ヒロオが兄貴分のような役割を果たし、やがて彼らは “新漫画党” を結成する。 私は東京郊外の閑静な住宅街で子供時代を過ごしたが、細い道をへだてて、向かい側に「日の丸アパート」という木造二階建ての長屋 が建っていた。周りとはずいぶん場違いな建物で、住人たちも今思い返すとユニークな面白い人たちだった。 靴脱ぎから狭い階段を上がると、細い廊下を挟んで部屋が並ぶ。トイレも炊事場も共同。トキワ荘の光景は「日の丸アパート」に そっくりで、「ア・・・」と懐かしさに襲われた。これが昭和30年代の空気だったと思う。 手塚治虫は映画冒頭ですぐ他へ引っ越してしまうけれど、寺田ヒロオ、藤子不二雄、石ノ森章太郎、赤塚不二夫・・・、と当時トキワ 荘に住んでいた顔ぶれを見ると、やっぱり「すごい面子(めんつ)だな」と驚かざるを得ない。私はかくべつ 漫画ファンというわけではないけれど、彼らの絵柄はすぐ
頭に浮かんでくる。それほどビッグな存在ばかりだ。だからこの映画が漫画家としては地味な印象の寺田ヒロオを主人公に据えているのは意外だった。 売れっ子となって世に出る者、挫折して去って行く者、さまざまな青春模様が繰り広げられる。彼らは寺田の部屋に集まって鍋を囲み、 “新漫画党” を結成して気炎をあげ、漫画への熱い思いを語りあう。兄貴分としてそんな彼らを見つめる寺田の視線は静かだ。 彼は自分の漫画は幼いという。たしかにほんわりした愛らしい絵と微笑ましいストーリーは、家族みんなで読めて健康的、ーー「漫画」 という媒体が持っているイメージが、そのまま寺田ヒロオのエッセンスだったと思うが、そうかといって私は彼の漫画に熱中はしな かった。 私が夢中になったのは、少女時代は手塚治虫の「リボンの騎士」だったし、その後空白があって、劇画が登場してからの「カムイ外伝」や「子連れ狼」などだった。 終盤、寺田は時流に合わせて自分のスタイルを変えることを潔しとせず、トキワ荘を去る。そのまま彼は漫画の筆を折ったのだそうだ。 いつの頃からか “寺田ヒロオ” の名を見なくなったのはそのせいだったのか。納得がいくと同時に、なにかしかの寂寥がある。 「漫画青春記」的な陽気で活発なものを予想していたけれど、本木雅弘の静かな佇まいもあいまって、思いがけず余韻の残る映画と なった。 【◎○△×】7 |
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ストーリー 作家のフランシス(ダイアン・レイン)は仕事も結婚生活にも満足していたが、ある日、夫の浮気が発覚、そのまま離婚に至って しまう。打ちひしがれた彼女を見かねて、親友のパティ(サンドラ・オー)がイタリア・トスカーナ地方への旅行を勧める。 こうして10日間の旅行に出たフランシスだが、ある田舎町で一軒の古い家に惹かれ、衝動買いしてしまう。地元の人々の助けを借りて 家の修復にのめり込むうちに、徐々に元気を取りもどしていくが・・・。 トスカーナ地方は中心都市のフィレンツェには行ったことがあるが、郊外をゆっくり旅行したことはない。きらめく陽光、草原をわた る風、青く透き通った空、そして落ち着いた家々と石畳の細い路・・・。映画で見る田園の光景にはいつも魅せられる。 夫の浮気、そして離婚、とボロボロになったフランシスが、トスカーナに旅したのは正解だったと思う。参加したのがゲイのツアーと いうのがなんだか可笑しいけど、この時のフランシスの気分にはぴったり合ってたと思う。 このツアーで、丘の上のこじんまりした町コルトナを通った時、フランシスは荒れ果てた家を衝動買いしてしまう。家の名は “ブラマ ソーレ”(太陽に焦がれるもの)。夫の裏切りに打ちのめされた フランシスにこれほどふさわしい言葉ってあるかしら。とても偶然とは 思えない。
「家」というのは、心理学的には「自我」を表わす、と聞いたことがある。フランシスが古い家の修復にのめりこんだのは、ほかならぬ
ボロボロになった自分自身の建て直しを意味していたのでしょう。家の改築修繕に雇われるのがポーランド移民というのが、意外でもあり、面白い気がする。なぜってフランシスも彼らもここでは異邦人だからだ。 異邦人同士が力を合わせて、「家」という根を下す。地元の人々(奔放な中年美女キャサリン(リンゼイ・ダンカン)や、実直な不動産業者マルティニ(ヴィンセント・リオッタ))が手を貸す。 ここにあるのは人種、国籍を超えた人情の温かさ、伸びやかさ、こだわりのなさ・・・。“良きトスカーナ” という言葉が自然と 浮かんでくる。実際、家の修復が完成した時、ポーランドの若者と地元の少女のカップルが出来上がり、フランシスがその仲立ちをする のだ。 フランシスがローマで出会ったハンサムな青年マルチェロ(ラウル・ボヴァ)と情熱的な一夜を過ごし、「私もまだ捨てたもんじゃ ない」と、夜一人で踊る場面はほんとにキュート。ダイアン・レインは、やつれきった顔も平気でさらすかと思えば、年下の男と恋では 初々しい輝きを取りもどし、女優としていい歳の重ね方をしているなと思う。 マルチェロとはすぐ破局がくるけれど、若いカップルの結婚式で大勢の人がフランシスの家に集まり、彼女は今度こそほんとうの恋に 出会う。目新しい展開ではないけれど、トスカーナの明るい空気に包まれて、幸せな気分に浸れるドラマだった。 【◎○△×】7 |
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ストーリー トルコ・イスタンブールのトプカピ王宮博物館に所蔵されている宝剣を盗もうとする盗賊団の犯罪コメディ。 女盗賊エリザベス(メリナ・メルクーリ)はトプカピのエメラルドの宝剣に魅せられ、愛人のベテラン泥棒ウォルター(マクシミリ アン・シェル)を口説いて強奪計画を立てる。観光客を装って現地入りした2人は、運転手として雇ったガイドのシンプソン(ピーター・ ユスティノフ)に武器を運搬させようとするが、それがもとでシンプソンは警察に逆スパイさせられる羽目になる。 仲間たちが集結し、いよいよ計画実行の運びになるが・・・。 メリナ・メルクーリがウィンク交じりにカメラを王宮博物館内に招きいれ、宝剣の前で「これがどうしてもほしいの」と溜め息をつく 「入り」がとってもお洒落。 どこまで本気か分からないコケットたっぷりのメルクーリ。ハンサムなマクシミリアン・シェル、まだこんなに若かったんだぁ。港で 観光客に「ベルギー語もしゃべれるよ」とついでのように言うピー
ター・ユスティノフ。ベルギー人のポワロが持ち役になるなんて、夢にも思ってなかったでしょうにね。その気もないのに事件に巻き
込まれてオロオロする小心者がよく似合う。エイキム・タミロフの酔っ払いコック。後半、もう少しストーリーにからめた出番が作れ
なかったかしら。強烈個性の彼なのに、ああ勿体ない。明るい陽光、楽しい音楽、全編遊び心に溢れている。 最近の超ハイテクを駆使した強盗団映画を見慣れた目には、彼らの用いる小道具は何とものどかで、その上、計画も大雑把。これで ほんとに堅固な警備を誇るトプカピ王宮博物館から、宝剣を盗み出せるの、と頭の中は「?」だらけだ。 ところが、トルコ名物のオイル・レスリング大会が始まる辺りから、俄然一味の動きがスマートになる。警察捜査員の視線の端を思わせ ぶりに行き来して、ふっと彼らが試合に気が取られた隙にいなくなり、王宮の屋根伝いに博物館まで行く時は高所恐怖症のユスティノフの あの体型だけでドキドキし、軽業出身の若者が窓から陳列室に侵入する頃は、もう息をするのも忘れるほど。 彼を天井から吊り下げるのも、陳列ケースを持ち上げるのも、みんな仲間が屋根の上からロープで引っ張る力仕事だ。体力切れになら ないとハラハラひやひや、連携プレイに手に汗を握る。盗みのテクニックは素朴で原始的なほうがかえってスリルがあるというのがよく 分かった。 99%成功したのに、たった一羽の小鳥のためにすべてがオジャンになる結末があか抜けている。懲りもせず、今度はロマノフ王朝の 宝石を盗みに冬のクレムリン宮殿に出かけていくご一行さまに、ついニヤニヤしてしまった。 【◎○△×】7 |
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ストーリー 若さと美しさを競う女たちの騒動をSFXを駆使して描いたブラック・コメディ。 落ち目の女優マデリーン(メリル・ストリープ)は、学生時代からのライバル、ヘレン(ゴールディ・ホーン)から婚約者の高名な美容 整形外科医アーネスト(ブルース・ウィリス)を奪って結婚する。ショックから過食症に陥ったヘレンは、7年後、極度の肥満になって いた。 さらに7年後、マデリーンのもとにヘレンからダイエット本の出版パーティの招待状が届く。会場で出会ったヘレンは別人のように 美しくなっていた。驚いたマデリーンは、リスル(イザベラ・ロッセリーニ)という謎の美女から肉体の老化を止める秘薬を手に入れる のだが・・・。 べつにホラー映画ってわけじゃないんだけど、かなり怖かった。なにがというと・・・、メリル・ストリープの首がグラッと180度 回転して、グルンと回して元にもどすと今度はがくんと前に落ちて・・・。モチみたいにひゅーんと延びたり、揺すって直したり ・・・。 ゴールディ・ホーンのどてっ腹に大きな風穴が開くのは何ともなかったから、やっぱり “首” っていうのが怖いんでしょうね。日本の お化けに「ろくろっ首」っていうのがあるけど、アレの怖さが初めて分かった。 ホーンの変身ぶりが面白かった。初めは陰気でダサくて、お化粧もしてるのかしてないのか、気のせいか目まで小さいの。7年後は 特殊メイクの超ファット女。だらしなくテレビの前に座り込ん
で、くちゃくちゃものを食べながら、マデリーンがドラマで絞め殺される
場面を繰り返し見ている。さらに7年後のパーティ会場。でんと構えた肥満女性の後ろ姿に、マデリーンは「1、2kgは痩せたみたいね」と余裕のコメント。 女性がすっと横にどくと、真っ赤なドレスのスリムでセクシーなヘレンが現われる。 カールのかかった豊かな金髪、パッチリした目・・・、これが本来のゴールディなんだけど、直前のおでぶさんが強烈だった だけに、マデリーンでなくても目が点になる。これはうまい! 永遠に死なないっていうのは、だれが考えてもしんどい話です。親しい人はいずれみんな死んでいなくなっちゃうし、周囲の人に不審に 思われないように10年もしたら自然と世間から姿を消してくださいっていうんじゃね。 おまけに、さらに38年後のマデリーンとヘレンはけっこう歳相応に老けてました。これじゃ何のために「不老不死」になったのか 分からない。ピンク色の肌のペンキも剥げてたし、ここまでくるとやっぱりホラーかな。 ストリープとホーンの罵詈雑言の演技合戦には驚いた。こういう役を平気で引き受けて、楽しんで演じちゃう。オスカー女優だとかそれ までのイメージだとか、そういうことにちっともこだわらない。こういう根性って私は好きだなぁ。 猛女2人に振り回されっぱなしの男を演じたブルース・ウィリスのトホホぶりも最高だった。「小太りで頭の薄い中年男」なんて女房に こき下ろされるわ、高い屋根伝いに邸から脱げ出そうとする時はヨタヨタするわ、これまたそれまでのイメージをかなぐり捨てての熱演 だ。 そういえばパーティ会場にいたジミー(ジェームス・ディーン)のそっくりさん、俯いた後ろ姿に胸キュンでした・・・。 【◎○△×】7 |