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【 じっくり映画館 】No.41

フレンチ・コネクション2


1975年  アメリカ  119分
監督 ジョン・フランケンハイマー
出演
ジーン・ハックマン、フェルナンド・レイ、ベルナール・フレッソン
ジャン=ピエール・カスタルディ、キャスリーン・ネスビット
フィリップ・レオタール

  ストーリー
 ニューヨーク市警のドイル刑事(ジーン・ハックマン)がフランスに渡った。マルセイユ警察のバルテルミー警部(ベルナール・ フレッソン)と協力して、麻薬の密輸ルート “フレンチ・コネクション” を壊滅するためだ。しかし逆に、ドイルは組織の男たちに 襲われて拉致される。
 連れて行かれた安ホテルには、組織を牛耳るシャルニエ(フェルナンド・レイ)と腹心の部下ジャック(フィリップ・レオタール)が 待っていた。その日からドイルはヘロイン漬けにされてしまう。バルテルミー警部、部下のラウル刑事(ジャン=ピエール・カスタルディ) らの必死の捜索にも関わらず、ドイルの居場所は杳として知れない。
 アカデミー賞を総なめした刑事アクション、『フレンチ・コネクション』(71)の続編。監督はジョン・フランケンハイマーにバトン タッチされている。

  一口感想
 続編ってたいていは『1』より内容が落ちるものだけど、本作に限っていえば、私はもとの『1』より面白かった。言葉のまったく 通じない異国に、ドイルだけをぽんと放り出すように置いた設定に、まず意表を突かれる。波止場で捜査に当たっているバルテルミー 警部のもとにたどり着くだけでも一苦労なのだ。「バーテルミー」と発音しても通じない。メモを見せたらやっと「あー、バルテルミー」と分かるという具合だ。
 『フランティック』(88)でも、フランス語の分からないハリソン・フォードがパリで右往左往するサマが出てくるが、どうやらアメリカ人が強烈に異国を感じるのは、英語を理解してくれない(笑)フランスに1人で放り出された時らしい。外国に旅行すると、「アメリカ人やイギリス人は英語が話せるから便利でいいなぁ」とよく思う私だが、フランスだけはそうも行かないようだ。

 その上、ドイルは外国人ということで拳銃は持たせてもらえず、捜査も手出しはするな、見ているだけ、と命令され、せっかく大西洋を 越えてやってきたというのに身動きもままならない。ふつうなら活躍の場がなくて、主役といえど精彩を失くしそうだが、ポークパイ・ ハットを被って町をうろつくドイルはやけに目立つ(もちろん、彼としては単独で捜査しているつもり)。二重、三重の制約の中でのこの 存在感、やはりジーン・ハックマン、ただものでない。

 相手の尻尾もつかめぬ内に、ドイルが逆にシャルニエに気づかれ拉致されて、監禁状態の中でクスリ漬けにされてしまうのも、私には 意外な成りゆきだった。掃除婦の老女に腕時計を抜き取られても、呆けたように見ているだけ、何が起きているのか分からないほどに なってしまう。
 バルテルミーらに助け出されてからは、禁断症状で苦しみ、あのタフな男が頭を抱えて泣くのだ・・・! これまでは決してドイルに 好意的ではなかったバルテルミーが、彼を見守り励まし続ける。2人の関係はいずれこうなると初めから分かっていても、「あ、きた きた」と嬉しくなってしまう。

 おかしかったのは、病室でドイルがバルテルミーに野球の説明をするところ。ドイルは日本人には馴染みの過去の名メジャーリーガー たちの名前を次々上げるのだが、バルテルミーにはさっぱり通じない。一応、曖昧に肯いてみせるのだが、彼が分かっていないのは 明らかだ。フランスでは野球は全然知られていないスポーツなんだと、あらためて認識するのと同時に、ドイルにいやに親近感を覚えたり する。
 この映画のクライマックスはなんといっても、ドイルがシャルニエの乗ったバスを延々と追いかける場面だろう。前作の高架を走る 電車を追うカーチェイスも凄かったけれど、本作のは “自分の足で走って追いかける” という笑っちゃうほど原始的な方法。でもこれ がもの凄い。
 バスは時々信号で止まったり渋滞でスピードが落ちたりはするけれど、車には違いない。それをドイルはひたすら走って追いかける。それも「彼ってひょっとして偏執狂なんじゃない?」と思ってしまうほどのしつこさだ。バスの中のシャルニエのほうが、終いに焦った表情をするところが面白い。さすがの彼も薄気味悪くなったんじゃないかしら。

 やっとバスが終点停留場に着く。どっと降りる乗客たち。必死にシャルニエを探すドイル。しかし見失ってしまう。ふと目の端に動く ものを感じて視線をやると、湾に繋留したヨットの客室にシャルニエらしき男が降りていく。この辺りは『1』の地下鉄の追いつ追われつ の場面を思い出す。
 さすがのドイルも泳いでヨットまではいけない。これまでか、と思うが彼はまだあきらめない。ヨットの動きに従って、今度は岸壁を 走る。そして湾の出入り口でヨットが動きを止めた時、甲板に出てきたシャルニエをついに仕留めるのだ。シャルニエもここまでドイルが 追って来ているとは思っていなかったのだろう。彼にしては油断があった。

 この場面はじつに鮮やかだ。岸壁から銃の狙いを定めたドイルが、一声「シャルニエ!」と叫ぶ。はっとしたように振り向く シャルニエ。ドイルの銃が火を噴く。シャルニエがくず折れるように倒れる。画面がさっと暗転しエンドロール。なんともいえず洒落て いる。『1』から持ち越されたフラストレーションが一気に吹き飛んだ気分になる。
 汗臭い男ばかりが登場するなかで、シャルニエを演じたフェルナンド・レイは垢抜けた風貌・身のこなしが、いかにもフランス人 らしい。それでいて、したたかな悪党の匂いも身にまとう。彼が仇役であることで、映画の印象がいっそう際立ったものになったと思う。
  【◎△×】8

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