| 【 じっくり映画館 】No.6 |
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1999年 105分 ドイツ/アメリカ/フランス/キューバ 監督 ヴィム・ヴェンダース 出演 ライ・クーダー、イブライム・フェレール ルベーン・ゴンザレス、コンバイ・セグンド エリアデス・オチョア オマーラ・ポルトゥオンド |
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ストーリー キューバ音楽に魅せられたライ・クーダーが、かつて脚光を浴びた一流ミュージシャンたちに呼びかけ、一堂に会して作り上げた アルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は、世界中で100万枚以上の大ヒットを記録した。このアルバムをベースに、 キューバ音楽界の古老たちが、レコーディングと欧米(アムステルダム、ニューヨーク)でのコンサートのために、再び結集する姿を 追ったドキュメンタリー。『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』のヴィム・ヴェンダース監督作品。 キューバ音楽は陽気で賑やかとだけ単純に思い込んでいた。それだけに、冒頭のコンサートシーンで歌われるラブバラードの哀調に 満ちた美しさは驚きだった。さまざまな思いが甦ったのだろうか、マイクを握ったまま思わず涙を流すオマーラ、彼女に寄り添うように 歌い、そっと涙を拭ってやるイブライム・・・私は歌に、音楽に、映画に、たちまち引き込まれてしまった。 ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブとはかつてキューバに実在した社交クラブだそうだ。1950年代そこで活躍したミュージシャン たちを探し出し、作ったアルバム「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」は世界的に大ヒットし、1997年のグラミー賞を獲得した。 この映画は彼ら老ミュージシャンたちがカーネギーホールでコンサートを行うまでを追ったドキュメンタリーだ。 ミュージシャンの1人1人が町で、家で、思い出を語り、歌い、演奏する。それがそのままコンサート会場の音楽になる。・・・かと 思うとスタジオの録音風景がいつか町の音楽に重なっていく。映画に絶えず音楽が流れている。みんな楽しそうだ、嬉しそうだ、リズム が体から溢れている。心地よい。木陰のハンモックで揺られているような気分だ。 ミュージシャンたちがじつに魅力的だ。最長老のコンパイ・セグンド。ギターの胴を叩いてリズムを刻む。94才の今も素晴らしく ダンディだ。ルベーン・ゴンザレスは、子どもたちが体操の練習をする体育館で、陽気にピアノを弾く。笑顔の愛らしいイブライム・ フェレールは、太ってお尻の大きい妻と手をつなぎ、ぶらぶらと町を歩く。紅一点のオマーラ・ポルトゥオンド。彼女は表情が豊かで、 歌手というより年期のはいった女優にみえる。イブライムとオマーラのデュエットほど哀調が深く心に沁みてくる歌を、私はかつて 聴いたことがない。 カーネギーホール出演のためにニューヨークにやって来た彼らのお上りさん状態も楽しい。彼らの人生は並み大抵のものではなかった 筈だ。しかしこの稚気、この伸びやかさはどうしたものだろう。まさしく彼らの音楽そのものの天真爛漫さだ。 ラストのカーネギーホールのコンサートが感動的だ。それまでの日に晒したような画面は一転して、しっとりと渋い色調に変わって いる。ミュージシャンたちの生き生きした演奏、至福の表情・・・。超満員の聴衆の歓声と拍手が大きなうねりとなって寄せてくる。 イブライムが初め少し驚いたように、それから噛み締めるようにじっと耳を傾ける。その表情の変化には、彼のこれまでの音楽人生が 凝縮して表われているように私には思えた。 映画館を出た後も、体の中には彼らの音楽が流れ続け、幸せな気持ちが私を包んだ。 【◎○△×】8 |